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静岡県内のバイタリティー溢れる人達に、体当たり取材を敢行している「聴きドキ!」今回は、新米が出回るシーズンに合わせて、岡部町で釜炊きごはん工房「ゆとり庵」を営む植田稔雄さんに聴きます。
CONTENTS
その名も「ご飯炊き職人」
「美味しいごはん」を食べてほしくて・・・
食事を楽しむ「ゆとり」を
「いただきまぁーす!!」
おうちで出来るワンポイント
出張「ごはん炊き」!?
INFORMATION
取材を終えて
その名も「ご飯炊き職人」
━━(名刺を拝見しますと)肩書きが「ごはん炊き職人」でいらっしゃるんですね。これは珍しいというか、こういう職業があったんですねぇ。
(植田)ははは。いえいえ、最初は特に「肩書き」があったわけではないんですが、いつだったか、お客様が名付けて下さったんですよ。こうしておしゃべりしながらね。『植田さん、あなた、ごはん炊き職人っていうのはどう?ぴったりだよ』なんておっしゃってね。それからです。
━━テーブルの上には、カセットコンロに陶器のお釜がのっていますが、このお釜でごはんを炊いて下さるんですね。
(植田)うちは予約制ですが、お客さんのいらっしゃる時間に合わせて、お米を炊くばかりに準備しておきます。店には、私が美味しいと感じた全国のお米をいつでも10銘柄ほど用意してありますので、お好みをおしゃっていただいてもよいですし、今日のように「おまかせ」ということであれば、選ばせていただいたお米を準備します。今日は新潟・佐渡のこしひかりです。新米ではありませんが、年間を通じて、とても美味しいごはんです。では、炊かせていただきます。
(カチッと目の前のコンロに点火)
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「美味しいごはん」を食べてほしくて・・・
━━お米によって、炊き方も違うんですか?
(植田)ええ、そのお米にあわせて、最も美味しいごはんになるように炊きあげます。実は、私、お米に魅せられたのは今から12年ほど前に、白川郷を旅行した際に食べた「ごはん」があまりに美味しかったからなんですね。それからというもの、とにかく美味しいごはんを炊くにはどうしたらよいのかを考えるようになりまして・・・毎日、ごはんの炊き方を研究してはノートを付け始めたんです。
━━当時から、お店を出そうと考えていたのですか?
(植田)いえいえ、ただ「おいしいごはんが食べたい」というそれだけでした。
最初は、まっくろこげになってしまったり、ほんと、失敗ばかりでしたよ。(笑)
それでも、研究を重ねるうちに、自分なりに美味しい「ごはん」が炊けるようになってね。それからです。今度はその「美味しいごはん」をみんなに食べさせてあげたいと思うようになっていったんですね。
それと、私、30年のサラリーマン生活も一所懸命にやってきたし、会社に不満があったわけでもないのですが、ただ、人生70年と思ったら、70歳まで楽しめる仕事をしたいとも考えたんです。それで思いきって2年前、会社を辞めて、お店を出すことになったんです。場所は、妻の実家も近く、私も転勤でよく土地のことをわかっていた静岡・岡部町にしました。
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食事を楽しむ「ゆとり」を
━━あぁ、釜からそろそろ湯気がでてきて・・・どこか懐かしいごはんの香り・・・。
いいですねぇ。目の前で炊くということは、この香りが楽しめるわけですねぇ。
(植田)ええ、そうです。店の名前「ゆとり庵」の名前の通り、ごはんが炊きあがるまでも、ゆったりと過ごしていただきたいです。私もサラリーマン時代はそうでしたが、とにかく今は忙しくて、ごはんをゆっくり食べるなんて事しないでしょ?ここでは、そんな時間を取り戻してほしいし、あらためて「ごはん」を楽しんでほしいと思っているんですよ。
━━おっしゃるとおり、電気釜でスイッチオン・・・の毎日です。子供も小さいこともあって、なかなかゆっくりとは、ごはんを楽しめないですねぇ。
(植田)ごはんが炊きあがるまで、およそ30分、こうしていろいろとお話をしながら過ごすんですよ。お米のことをはじめ、いろいろなことを・・・。実は私も、お店を始めてからというもの、ゆっくりおしゃべりすることが自然に身に付きましたねぇ。サラリーマン時代は、もっと早口だったかなぁ(笑)
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「いただきまぁーす!!」
━━おしゃべりの背景に、ごはんが炊きあがる香りが漂うのがまた良いですよね。懐かしい香りに、心が落ち着く感じがします。
(植田)さあ、そろそろ炊きあがりました。お米をよーく見て下さいね。ふっくらと粒がとても大きくなっているはずです。いいですか?
━━何だか、緊張しますねぇ。はい、お願いします。
(植田さんが釜のふたを開けると・・・)うわぁ、ホント、お米の粒が大きくて、その上とてもしっかりしています。ごはんの色がキレイです。何とも言えない艶やかな感じです。香りがまた食欲をそそりますねぇ・・・。
(植田)どうぞ、お召し上がり下さい。おかずも梅干し以外はすべて手作りです。(海苔の佃煮・冬瓜の酢漬け・キュウリの漬け物風煮物・あじの干物など)ごはんの邪魔をしないようなおかずを考えてお出ししています。
━━うーん、お米の一粒一粒が、口の中に入れてもはっきりわかるんですね。だから、かむ毎にごはんの味が、口一杯に広がる感じ・・・。しかも、この見事なおかずのラインアップ。海苔の佃煮だけでも軽く2杯はいけそうですよ。(この日は、女性2人で2合以上たいらげました・・・)
これまで私が口にしていたものと、同じ食べ物とは思えないくらいとっても美味しいごはんでした。ごちそうさまでした。息子と夫にも、是非食べさせたいのですが、ここのごはんを食べたら、私の作る夕飯は食べなくなってしまうかなぁ・・・(苦笑)
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おうちで出来るワンポイント
━━あの・・・自宅でごはんを炊くときに、少しでも参考になることはありますか?
(植田)はい、そうですね。まず、お米をといだら2時間以上は浸さない方がよいですね。それと、お米が炊けたら電気炊飯器での保温はすすめません。出来るだけ早く、お櫃などに移した方がよいですね。また、ほとんどのお宅では、家に常備しているお米は1種類だと思いますが、お米もそれぞれの特徴がありますから、食事に合わせて複数を使い回すことをお薦めします。
━━例えば?
(植田)すし飯などには「ササニシキ」がいいですね。存在感がありますから。
また、洋食などこってりとしたお料理には、主張が強い「コシヒカリ」、和食には「ひとめぼれ」や「はえぬき」などのくせのない味がよいですね。ちょっとしたことですが、ぜひやってみてください。
━━「今日はおかずにあわせて『はえぬき』よ」なんて、何だかツウっぽくて
かっこいいなぁ。形から入るほうなので(笑)、挑戦します。
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出張「ごはん炊き」!?
━━今日は、おなかはもちろん心も大満足でした。ごちそうさまでした。
最後に、これからやってみたいことを教えてください。
(植田)お店にお客さまのご意見を書いていただくノートがあるんですが、先日、お父さんと一緒に来た小学校の男の子が「楽しかった」って書いてくれたんですね。この「楽しみ」をもっと広げたいですよね。例えば、学校にお邪魔して、子供たちにおいしいご飯を食べてもらったり、様々なイベントなどに出張して「ご飯を炊く」・・・なんて考えています。お釜とコンロを持っていけば、簡単に出来ますからね。いろいろな方法でお米のおいしさを、もっと多くの人たちに知ってほしいと思っています。
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INFORMATION
岡部宿「ゆとり庵」 志太郡岡部町岡部839-1
電話 054-667-2827
ファクス 054-667-0405
営業時間 午前11時〜午後7時
定休日 火曜日
※お米(一合〜)やおにぎりの店頭販売もありますが、食事は予約が必要です。メニューは季節に応じて、とろろ汁や鍋料理などがあります(食事は1575円〜)
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取材を終えて
今の30代半ばから後半くらいの人たち=子育て世代が、最も「食」に関して、ある意味、貧しいんではないか・・・と話す植田さん。食生活にも不自由なく、
また、インスタント食品が流行し始めた時期と重なるため、食に関する意識が低いということだ。正直「ドキッ」とした。まさに、私に当てはまるからだ。
忙しい毎日で、子供ともゆっくり食事の時間を持つことも難しい・・・。
それでも週末ぐらいは、ゆっくり家族で食卓を囲みながら、ごはんやおかずについてなど、いろいろな話をしていこうと思う。そうして、子供たちに「食」の大切さを教えていくことが重要なんだと、強く感じる一日だった。
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この情報は2004年10月現在のものです。 |