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琥珀色が美しい蓮茶。
飲むと上品で爽やかな香りが口中から鼻腔にかけて広がる。ジャスミン茶や八角のような風味も感じられ、美味しい。 |
━━━でも、お店をやっていて良かったと思うこともありますか?
それはもちろん、うれしいこともたくさんあります。
お客さんがうちのお店で食事をしてくださって、「ベトナムに行きたくなりました」と言われることもあるんですが、すごく嬉しくなりますね。
ただ食べて満足してくださるだけじゃなくて、そこでベトナムってどういう国かと興味を持ってもらえて、質問をしていただけることがあるのは嬉しい。「このお料理はどういう環境で生まれてきたのか」など深い質問をされることもあります。自分も説明をするために色々調べなければならないんですが、それもまた楽しいです。
例えば、お水の代わりに出しているこの蓮茶なんですが、これも「どうして蓮茶なんですか?」って聞かれたりします。
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店内のあちこちに蓮の花の意匠が目に付く。ベトナムの人にとっては、日本人の桜よりももっと生活に密着した存在。 |
━━━私も初めていただいたときに、飲んだことがない風味だったので「これはなんですか?」って聞きましたもん! で、どうして蓮茶なんですか(笑)?
お店のシンボルマークも蓮なんですが、蓮茶はベトナムではポピュラーなお茶です。咲いた蓮の花の中に紅茶の茶葉を入れて、花を縛って一晩そのまま置いて茶葉に香りを移す方法と、花のめしべを摘んで茶葉に混ぜる方法があります。
ベトナムは、南北に長い国なので地方によって、気候や風土、文化にすごく違いがあるんです。南は気候にも恵まれ食材も豊富でおっとりしているけど、北の方は文化の発祥地としての歴史のある気風が残っています。
風土や気候が違うので、人間の性質も全然違うんですよ。でもこんなに違う国なのに、沼や池があるので、どこでも共通しているのが蓮。ベトナムでは、蓮は生活にも密接に結びついています。めしべはお茶に、花や葉でごはんを包んだり、茎もサラダにしたりして食べますし、根っこはレンコンですからもちろん食べます。
食生活にも結びついていますし、精神的な生活にも大切な存在です。
ベトナムは儒教の影響が強く、貧しくても美しく生きていかなくちゃいけないという考えがあります。
その象徴が蓮なんですね。
━━━泥にまみれていても美しい花を咲かせるってことですね?
そう。ベトナムには民謡にも「泥の中で育っているのに、泥臭くならず、キレイに美しく咲いている」という歌詞があります。これは人間の人格についても歌っているんですね。
これまでベトナムには国花という概念がなかったのですが、制定しようということでアンケートをとったら、蓮がやはり1番でした。
━━━蓮茶ひとつとっても、こうしてベトナムの話を伺えました。
店の理念というか方針は、ただの料理店ではなくて、食を通してベトナムの文化を伝えたいということなんです。今の段階ではまだまだそこまでできていませんが、3月半ばにベトナムから1人料理人が来るんです。そうしたら、私ももっと外に出て勉強をしたり、イベントを企画したり、料理教室も開きたいと考えています。
最初の企画として4月には「春巻きフェア」を計画しているんですよ。ベトナムは先ほど話しましたけど、縦に長い国なので春巻きも各地によって全然違うんです。皮も違うし、中身もタレも違うんです。それを全てではないですが、北から南まで色んな種類をご紹介しようと思っています。
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日本でもすっかりおなじみの生春巻。
実は地方によって様々な種類があるのだそう。 |
━━━わぁ、楽しそうだし、美味しそう! お店のオープンから半年ですが、夢や企画が色々出てきますね。
私も共同経営者も、未熟で経験がなかった。実際お店をやってみて、修正しないといけない部分がいろいろ見えてきました。
でも未熟だったから、経験がなかったら、こんなに大胆なことをやっちゃったって部分がありますね(笑)。
もし、もう少し経験があったら、「まだまだ未熟だ」って思ってやれなかったと思いますね(笑)。
━━━そういうところは、箱入り娘で実家を出たことがなかったのに、初めて親元を離れたのがいきなり日本という大胆さに通じていますね(笑)。にこやかな笑顔で優しい雰囲気なのに、芯の強さのようなものを感じます。
さっきの蓮の花のたとえじゃないですけど、表面の美しさに隠れた生命力の強さのような。ベトナムの女性はみんなそうなんですか?
ベトナムの女性って強いって言われているんですよ。
儒教の影響もあって、建前では夫唱婦随、男性を立てるんですが昔から女性も働いていましたし。産業が発達しない風土なので、女性も働かないと家族を支えられなかったということもあると思いますが。
━━━新しい料理人の方も増えれば人を使う大変さも増えますし、採算という点からもお店を見直したりと、まだまだ山はありそうですが……。
なんとかして乗り越えるしかないですね。
つまずいて倒れちゃったら終わりですから・・・前に進むしかないんです。もう後ろに何もない状態にして(笑)。
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