シンデレラマン
2005/アメリカ 約144分
監督:ロン・ハワード
脚本:アキヴァ・ゴールズマン
出演:ラッセル・クロウ 、レネー・ゼルウィガー 、ポール・ジアマッティ
配給:ブエナビスタインターナショナル(ジャパン)
発売元:ブエナ ビスタ ホームエンターテイメント
「シンデレラマン」公式サイト:http://www.movies.co.jp/cinderellaman/
STORY
ジム・ブラドックの人生は、希望に満ちていたはずだった──
前途有望なボクサーで、美しい妻メイと、天使のような3人の子供に恵まれ、家には笑い声が絶えることがなかった。
だが、1929年、右手の故障がきっかけで勝利に見放されたジムは引退を余儀なくされる。時を同じくして《大恐慌》がアメリカの経済を壊滅状態にし、人々の生活は困窮した。
そんな出口の見えない不況の中でも、ジムは諦めなかった。子供を預けようという妻メイの苦渋の決断にも耳を貸さず、彼は家族が一緒にいることに固執する。人生の転機は、古くからの友人によってもたらされた。ボクサー時代のマネージャーだったジョーが、新進ボクサーとの試合の話を持ちかけてきたのだ。
勝ち目などない、一夜限りのカムバック。だが、その報酬は今のブラドック家にとって大きな救いだった。
夫の身を案じるメイをふりきり、ジムは再びリングに立つ。
それが、アメリカ中を希望で包み込む《奇跡》の序章となるとは、気づきもせずに…。

ボクシング・・・私の最も苦手なスポーツだ。
力いっぱい本気で殴りあう場面なんて、見ているだけでも痛いし、ボクシング好きの人の気持ちははっきりいって、全くわからない。(ボクシング好きの皆様ごめんなさい)
ところが、大好きなラッセル・クロウと、ブリジットジョーンズ以来、とても気になっている女優レネー・ゼルウィガーが競演するというではないか。これは、目を覆いながらも、どんなに痛くっても観るしかない・・・というわけで、思い切って観てみると・・・涙・涙の感動のストーリーにKOされた気分だ。
この映画、実話を基にしている。
ラッセル・クロウ演じる「ジェームズ・J・ブラドック」は、1907年、NYに生まれ19歳でプロ・デビューを果たす。前途有望なボクサーであったにも関わらず、いったんは生活保護を受けるまでになるが、その後『奇跡』を起こし、67年の生涯を閉じた後、その栄誉を讃えられ、2001年に世界ボクシング協会の殿堂入りを果たしたという人物だ。
ブラドックの人生に起きたことは確かに『奇跡』だが、実話ベースなので、ストーリーは、至ってシンプルである。意表をつく展開や演出はなく、おかげで、とても素直な気持ちで作品に入っていける。家族愛・友情・信念・・・時を経ても変わることのない普遍的なテーマがそこかしこに感じられ、見終わった後、勇気をもらえる作品である。
ちなみに、作中のボクシングシーンは、ラッセルの並々ならぬこだわりの賜物だったといえる。
ラッセルは、現存するブラドックのフィルム映像や写真、記録などの研究に没頭し、彼のスタイルを完璧にマスターした後、トレーニングに取り組んだという。こうして臨んだラッセルのファイティングシーン・・・マネージャー役のジアマッティは常に、セリフではない本物の声援を送っていたと言う。
トレーニング中には、全治2ヶ月という大アクシデントにも見舞われたこともあったが、ラッセルは手術後6週間で復帰。ボロボロになりながらも闘い続けた「ブラドック」に肉薄したラッセルの演技の背景には、こうしたエピソードがあったのかと納得。

「『信念を持って闘う男』を演じさせたら、ラッセル・クロウに勝る俳優はいない!」とは、私が勝手に思っていることだが、ラッセル主演の『グラディエーター』(2000年アメリカ)を思い出して欲しい。あの作品でも、失った家族への愛が、彼を支え、闘わせた。
「シンデレラマン」におけるブラドック(ラッセル)は、愛する家族を失いこそしなかったものの、どん底の生活苦に襲われ、家族離散の危機に直面する。
それでも家族と共に過ごしたい・・・その信念が、彼を勝ち目のない闘いへと向かわせるのである。

この闘いを機に、彼の奇跡のストーリーが始まっていくのだが、彼の目的はあくまで「報酬」を得るため=家族への愛情だったということが要だ。
ひたむきに生きる姿は、人の心を掴む。そして、家族や友人に支えられながら、決してあきらめない勇気をもって前に進んでいく姿に、人は励まされるのではないだろうか。

ラッセル・クロウの魅力とは・・・母性本能をくすぐる「はにかんだ笑顔」を、まず一番に挙げよう。
プライベートでは荒くれ者との噂もあるが、目をやや細めて、妻や家族の様子を見守る姿に、どうにも私は参ってしまうのである。
本作の場合はとりわけ、ファイティングシーンとのギャップが、この「笑顔」を引き立てている。
さらにもうひとつは・・・薄い唇!! 唇の薄い男は、軽薄な感じがするという人もいるが、私は、犬のような!?このラッセルの唇が大好き!!
「LAコンフィデンシャル」での苦悩する刑事役もそうだったが、苦悩を重ねながら、ふと、薄い唇の端を少しだけあげて微笑むラッセルには、もうクラクラ・・・。
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すっかり、ラッセル・クロウへの思いを吐露するばかりになってしまったが、ブラドック(ラッセル)の「信念」を裏付ける家族の存在は、物語の重要なファクターであろう。
ブラドックの妻・メイを演じるレニーは、どんな困難にも、笑顔であろうと努めている。その姿が、時に痛々しくもあるが、こうした妻の存在があるからこそ、ブラドックが前に進めるのだと自然に納得できる。
私自身は(なぜか)すっかり「ブラドック」に肩入れして(なりきって)作品を鑑賞したが「メイのような妻になれるかどうか」といわれたら・・・むむむ、正直難しい。
しかし、その笑顔の裏側にもまた「信念」がある。試合前夜のパーティでブラドックを侮辱され、堪えかねたメイの逆襲は、見ている側も爽快だ。
また、ブラドックのファイティングマネージャー・ジョー(ジアマッティ)もまた、見る者の心を動かす。自らの家庭を犠牲にしてまで、ブラドックを信じ、支え続ける。そして、その友情が奇跡を起こす。
感動のストーリーを支えるこの二人の名演技にもまた、心地よい感動を覚える。

★「君の支えなしでは闘えない」
勝ち目のない闘いに挑む夫の姿を見て、不安に駆られる妻・メイに、ブラドックがかける一言。いやはや、言えないよねぇ・・・普通。でも、家族を思う気持ちだけで闘うブラドックには言えるのよ。
さらに、帰宅した夫にかけるメイの言葉もスゴイ。「あなたが誇らしいわ、心から誇りに思う」も、応用したくても、なかなか実生活には置き換えられませんね、はい。
★「男同士の約束」
食べるものも満足でなく不安を抱える息子に、ブラドックが「決してお前達をよそにやらない」と約束する場面。ブラドックが再びリングに立つのも、この約束があったから。父子の約束っていいよなぁと思いつつ、我が家の男性陣(夫と息子)に重ねてみましたが、うーむ、重ならず、残念。
★「おかえりなさい」が聞きたくて・・・
試合後、ひっそりと自宅に帰ってくるブラドック。命をかけた闘いの後、家族の顔を見る喜びが全身から感じられる。静かな場面だが、家族愛に満ち溢れている。
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